家族信託の費用相場——福岡の司法書士が実額で教えます
2026年4月28日by 代表 髙岡宏

家族信託は「高そう」というイメージで検討が止まっていませんか? 実際の費用は信託財産額で大きく変わります。福岡の司法書士が、自宅1,500万円のケース・収益不動産1億円のケース・事業承継のケースで、実際の総額をシミュレーション。成年後見制度との10年単位の費用比較も合わせて解説します。
導入
「家族信託を検討したいのですが、費用がどれくらいかかるのか不安です。」
ご相談をお受けしていると、最初にいただくご質問の多くがこのお声です。確かに家族信託は初期費用がまとまってかかる制度であり、数十万円単位の出費は決して小さくありません。
しかし、何にいくらかかるのかを具体的にご理解いただくと、決して高すぎる買い物ではないことがお分かりいただけます。特に、成年後見制度を長期で使った場合と比べると、むしろ家族信託のほうが経済的合理性が高いケースがほとんどです。
この記事では、福岡の司法書士として実際にご依頼いただいている料金レンジと、3つの典型ケースでの総額シミュレーション、そして成年後見制度との長期費用比較を、包み隠さず数字でお伝えします。
家族信託にかかる費用の内訳
家族信託の費用は、大きく以下の5項目から構成されます。
① コンサルティング料(設計費用)
家族信託の要となる費用です。信託財産の評価額に応じた料率で決まります。
当事務所の料金体系(レーマン方式):
| 信託財産評価額 | 料率 |
|---|---|
| 1億円以下の部分 | 0.8% |
| 1億円超〜3億円以下の部分 | 0.6% |
| 3億円超〜5億円以下の部分 | 0.4% |
| 5億円超〜10億円以下の部分 | 0.2% |
| 10億円超の部分 | 0.1% |
| 最低報酬 | 275,000円 |
② 信託契約書の公正証書化費用
信託契約書は、後日の紛争予防と金融機関対応のため、公正証書として作成するのが標準です。
- 当事務所のサポート料: 175,000円〜
- 公証役場の手数料: 5〜10万円程度(財産額による)
③ 信託登記費用(不動産を信託する場合)
不動産を信託財産に含める場合、所有権移転登記及び信託の登記が必要です。
- 登録免許税: 固定資産評価額 × 0.3%(土地)/ 0.4%(建物)
- 当事務所の登記サポート料: 110,000円(不動産3個まで)/ 4個目以降は1個ごとに+10,000円/ 登記申請件数が増える場合(管轄違い等)は1件ごとに+30,000円
④ 戸籍・不動産調査の実費
- 戸籍収集・不動産調査等: 46,200円〜
- 戸籍発行手数料・証明書等の実費: 1万円程度
⑤ その他
- 信託口口座の開設手数料(金融機関による)
- 税務顧問料(税理士紹介の場合)
3つの典型ケースでの総額シミュレーション
実際のご家族像で、どれくらいかかるかを計算してみます。
ケース1: 自宅のみを信託(財産総額 1,500万円)
ご家族像: 福岡市内在住のご夫婦(父80歳・母78歳)。自宅(土地1,000万円+建物500万円)のみを子(1名)に信託。認知症対策が主目的。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| コンサルティング料(最低報酬) | 275,000円 |
| 信託契約書作成サポート | 175,000円 |
| 公証役場手数料 | 50,000円程度 |
| 信託登記の登録免許税(土地0.3%+建物0.4%) | 50,000円(評価額1,500万円仮定) |
| 信託登記サポート料 | 110,000円 |
| 戸籍・不動産調査等 | 46,200円 |
| 合計 | 約706,000円 |
ケース2: 自宅+収益不動産(財産総額 1億円)
ご家族像: 福岡県内で不動産賃貸業を営む60代男性。自宅1,500万円+アパート2棟8,500万円を長男に信託。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| コンサルティング料(1億円 × 0.8%) | 800,000円 |
| 信託契約書作成サポート | 175,000円 |
| 公証役場手数料 | 80,000円程度 |
| 信託登記の登録免許税 | 330,000円程度 |
| 信託登記サポート料(不動産6個想定: 110,000+10,000×3) | 140,000円 |
| 戸籍・不動産調査等 | 80,000円 |
| 合計 | 約1,605,000円 |
ケース3: 事業承継を視野(財産総額 3億円・株式含む)
ご家族像: 中小企業経営者55歳。自社株式1.5億円+収益不動産1億円+自宅5,000万円を後継者(長男)に信託。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| コンサルティング料(1億×0.8% + 2億×0.6%) | 2,000,000円 |
| 信託契約書作成サポート(複雑設計) | 300,000円 |
| 公証役場手数料 | 150,000円程度 |
| 信託登記の登録免許税(不動産1.5億) | 500,000円程度 |
| 信託登記サポート料(不動産7個想定: 110,000+10,000×4) | 150,000円 |
| 戸籍・不動産調査等 | 100,000円 |
| 税理士連携料 | 300,000円程度(別途) |
| 合計 | 約3,500,000円 |
成年後見制度との10年比較
家族信託の費用だけを見ると「やっぱり高い」と感じるかもしれません。しかし、認知症後に成年後見制度を使う場合と比較してみましょう。
比較前提
- 80歳で認知症発症・成年後見開始
- 90歳でご逝去まで10年間継続
- 財産額: 5,000万円(上記ケース1〜2の中間想定)
成年後見制度の10年総コスト
| 項目 | 金額 | 10年総額 |
|---|---|---|
| 専門職後見人報酬 | 30,000〜50,000円 | 360万〜600万円 |
| 後見監督人報酬(必要に応じ) | 10,000〜20,000円 | 120万〜240万円 |
| 家裁への報告事務の煩雑さ | - | (間接コスト) |
| 合計 | - | 約480万〜840万円 |
家族信託の総コスト(ケース1相当)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 初期費用 | 約71万円 |
| 継続費用 | ほぼなし(受託者が家族のため報酬不要) |
| 10年総額 | 約71万円 |
差額は約410万〜770万円
しかも、家族信託では:
- 家族の意思で柔軟に不動産売却・運用が可能
- 裁判所への報告不要
- 相続対策・二次相続対策も同時設計可能
長期で見れば、家族信託が圧倒的に経済合理的であることがお分かりいただけると思います。
費用を抑える3つの工夫
それでも「初期費用が重い」と感じる方に、費用を最適化する3つの方法をご紹介します。
工夫1: 信託財産を絞る
すべての財産を信託する必要はありません。認知症後に動かせないと困る資産だけを信託財産に絞ることで、コンサルティング料を抑えられます。
- 自宅だけ信託する
- 収益不動産だけ信託する
- 主要な預貯金と自宅を信託する
工夫2: シンプルな設計にする
二次受益者、信託監督人、信託財産の変更条項など、複雑な設計を入れると設計費用が上がります。まずはシンプルな信託からスタートし、必要に応じて変更契約で追加することも可能です。
工夫3: 遺言との組合せで費用分散
信託財産から外した預貯金の一部などは、遺言書でカバーすることで、信託の対象範囲を減らせます。遺言書作成費用は家族信託より安く(20〜30万円程度)、併用が効率的です。
福岡エリアの相場感
ご参考までに、福岡エリアでの家族信託費用の相場です。
| 事業者 | 初期費用の傾向 |
|---|---|
| 信託銀行 | 高額(100万円〜・年間管理料別途) |
| 大手司法書士法人 | 中〜高(80〜150万円) |
| 地域密着型事務所(当事務所含む) | 中(60〜100万円 |
| 個人事務所の低価格型 | 低(50万円前後・ただし品質要確認) |
極端に安い設定には注意が必要です。設計の甘さが後日のトラブルを招くケースがあります。
よくあるご質問
Q1. 分割払いは可能ですか?
A. 原則として、コンサル料は契約時・登記費用は登記申請時にお支払いいただきます。ただし、ご事情により2〜3回の分割にも応じております。お気軽にご相談ください。
Q2. 途中で信託内容を変更したい場合、追加費用はかかりますか?
A. 変更契約書の作成・公正証書化で 5〜15万円程度が目安です。契約時に「変更可能な条項」を予め組み込んでおくことで、柔軟な対応が可能です。
Q3. 信託の終了時にも費用はかかりますか?
A. 費用はかかります。しかし信託をどう終わらせるかで、その費用は異なります。
まとめ
- 家族信託の費用は信託財産の評価額で大きく変わる
- 自宅のみの信託で70万円前後、大型事業承継で350万円規模まで幅あり
- 成年後見制度を10年使うと480万〜840万円。家族信託のほうが経済合理的
- 信託財産を絞る・シンプル設計・遺言併用で費用を抑えられる
- 極端に安い設定には注意(品質との両立が重要)
当事務所クロニクルでは、ご家族の状況とご予算を丁寧にヒアリングした上で、最適な費用対効果の設計をご提案します。「うちの財産だといくらくらいかかるのか」を具体的に知りたい方は、初回無料相談で概算見積もりをお伝えします。
福岡を拠点に、九州全域のご家族にオンラインでもご相談いただけます。司法書士と土地家屋調査士のダブルライセンスにより、不動産が絡むご相談にもワンストップで対応できます。
お見積もりだけでも、お気軽にご活用ください。
